子育てに直面したときに、巷で耳にする、あんなウワサ、こんな説。それってほんとうに根拠があるの? これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれませんよ! 第40回目は、「親の手抜きと子どもの成績」についてお話しします。
手抜きごはんだと成績はどうなる?
よく、外食や家事代行などと子どもの成績は関連性があるのか、という質問をいただきます。 外食と成績の直接的なデータを見たことはないのですが、海外比較をすると少し見えてきます。家事に携わる時間についての記事(第35回)で書いたとおり、外食率と成績に関連はないように感じます。 それよりも、食事のときに子どもと会話をすることが大事。 食事をつくるのに時間を取られすぎて、結局子どもが一人で食事をするのではあまりよくありません。例えば惣菜などを買ってきて出していたとしても、栄養がある程度ちゃんとしていれば、いいと思っています。そして、その際には子どもと一緒に会話をしながら食べることが大事です。
家事代行などのサービスを利用するのも手
家事代行と成績の直接的なデータは見たことがありません。でも、ついふた昔ぐらい前の前時代的な考えだと、家事代行がいるのが当たり前だったわけで、子どもの教育に家事が大事だとは思えません。 特に日本では母親の家事時間が長いわけですが、子どもと一緒に遊んだりする方がよいので、可能な限りで何かのサービスを使っても問題がないと思います。 日本では、家事代行やお惣菜を買ってくることに対して、だいぶ背徳感があるようですが。それよりも大事なことは、先ほども言いましたが、子どもとコミュニケーションを取ること。それが子どもにとって一番の刺激になります。
親が家事などをちゃんとやりたいというのも、日本特有の感覚。そのおかげでおうちも清潔だし、いろいろプラスのこともあるのでしょうが、それで両親が疲れてしまって、子どもにあたるぐらいであれば、ちゃんとやらないというのも選択肢だと思います。何でもほどほどに抑えておけばうまくいくんじゃないでしょうか。 子どもとの時間を確保するための工夫は、家事代行のようなお金をかけること以外にも色々とできるはずです。なるべくお母さんやお父さんが疲れないように考えたいですね。 今後も、理系の研究者が母親になって感じた日々の疑問について、私なりに調べ、考えた結果を共有していけたらと思っています。